どーも!!こあらっこです。
今回は、熱・結露というテーマで勉強していきます。
快適な住環境を作るのに、冬は暖房、夏は冷房が必要不可欠です。その際、屋外と屋内で温度差ができることにより、結露が生じます。冬場で窓ガラスが濡れていることがありますよね??これが、結露です。この現象は、壁体内部でも起こりうる現象です。壁体内部で結露してしまった場合、強度の低下、また健康被害にもつながりますので、専門的な知識を持っていることが重要です。
それらを、ここで勉強していきましょう!!

熱の伝わり方
熱の伝わり方
熱は、大きく分けて3種類に分類されます。
1)熱伝導
熱伝導とは、固体中を高温側から低温側にかけて熱エネルギーが伝わっていく現象です。
例えば、鉄の棒を持ちながら持ってない方を熱すると熱くなってくることありますよね。これが、熱伝導です。
2)熱対流
熱対流とは、流体の流れによって、熱などが運ばれる現象です。
例えば、冬にストーブを燃やすと、そばの空気は暖められてそれらの空気は上昇する。その後、冷たい空気が入ってきてまた暖められて上昇する。この繰り返しによって室内が暖まっていくのが熱対流です。
3)熱放射(熱ふく射)
熱放射とは、物体表面から出される赤外線(電磁波)によって熱が移動する現象です。
例えば、太陽からの熱エネルギーが光のように進み、地球上にいる人に当たると、再び熱エネルギーに変わり暖かく感じる現象が熱放射です。
熱放射は、空気がなくても、物体の温度が0℃以下であっても存在するのが特徴であり、約-273℃で熱放射はゼロになります。
熱対流と熱放射な影響を受けて、空気や水などの流体から固体表面に熱が伝わる現象を熱伝達といいます。
建物の壁における熱の伝わり方
熱の伝わり方をここでは、壁体で考えてみましょう。
それらをわかりやすく示した図が、以下の図になります。

太陽からの放射、壁体付近での対流によって外気と壁の境で熱伝達が起こります。それが、壁へと伝わります(熱伝導)。そして、室内側で再び放射・対流によって熱伝達が起こります。
これらの、熱伝達⇒熱伝導⇒熱伝達という一連の熱量の移動を熱貫流といいます。覚えておきましょう!!
材料と熱の伝わりやすさ
壁体内などの単位厚さ当たりの熱の通りやすさを示す値を熱伝導率(W/(m・K))といいます。

ここで、抑えておくべきことは、材料の分類で熱の伝わりやすさ、伝わりにくさを理解することです。
熱の伝わりやすい順に並べると以下のようになります。
金属系>土石系>木材系>繊維材料系

グラスウールは、繊維材料系であり、熱を伝えにくいことから、断熱材としても使用されています。しかしながら、濡らしてしまうと断熱性能は一気に低下してしまい、結露の原因ともなるので注意しておきましょう!!
空気層の断熱性
断熱には、先述したグラスウールを入れるほかにも空気層を設けることにより断熱する方法があります。
空気層は、厚みによって断熱効果が変わってきます。
2~4㎝までは、断熱効果が増加するが、それ以上は逆に熱対流が生じてしまいむしろ少しずつ減少していってしまいます。。なので、空気層を設けるときは、2~4㎝で計画しましょう!!
乾湿球温度計
乾湿球温度計は、その名の通り乾球温度と湿球温度との温度差で湿度が分かる温度計になります。
乾球温度が同じ場合、乾球温度と湿球温度の差が大きい方が相対湿度は低くなります。

これでは、いまいちわからないですよね。もう少し簡単に考えましょう。
湿球温度計は、先端がガーゼで覆われていて湿った状態になっています。 空気が乾燥しているほど、湿球温度計の水が蒸発しやすく、熱を奪うため、湿球温度は、乾球温度より低い温度を示します。 つまり、乾球温度が同じ場合、湿球温度が下がると空気中が乾燥してきている=湿度が下がってきているということです。

中学2年生の理科の問題で以下のような問題があったので、試しに解いてみましょう!!

(1)16℃
(2)79%
結露と防止対策
湿り空気と湿度
通常の空気には少量の水蒸気(水分)が含まれています、これを湿り空気といい、それを示す尺度が湿度です。
湿度には、絶対湿度と相対湿度があります。
絶対湿度は、湿り空気に含まれる水蒸気の絶対量を示し、乾き空気1㎏に対する水蒸気の質量比を重量絶対湿度といいます。
相対湿度は、湿り空気中に実際に含まれている水蒸気量と、湿り空気がその温度で含むことのできる最大の水蒸気量(飽和水蒸気量)の比を百分率で示したものです。
湿り空気の温度が高くなると、分子の運動が活発になるため、飽和水蒸気量は多くなるので、含まれる水蒸気の量が同じでも相対湿度は低くなります。
湿り空気線図
以下の図を湿り空気線図といいます。
横軸:乾球温度
縦軸:重量絶対温度と水蒸気分圧
斜め方向:相対湿度・湿球温度・比エンタルピー
これらの5つの尺度のうち2つが決まれば、残りの3つの値が読み取れます。

結露
結露とは、冬に暖房を使用していると窓ガラスが水滴で曇ってしまう現象をさします。
湿り空気線図を用いて、結露が発生する過程を見てみましょう。

黄色の線で考えてみましょう。乾球温度25℃、相対湿度60%の空気を絶対湿度を保ちながら、徐々に冷却していくと、相対湿度100%に達します。この相対湿度100%となった状態での乾球温度を露点温度といいます。この場合は、16.7℃が露点温度になります。さらに温度を下げていくと、露点温度以下では、空気中に含むことのできない水蒸気が水滴となり、結露が発生します。

結露には、壁面やガラスなどの表面にできる表面結露と、壁の内側にでき、カビ・錆の原因となる内部結露があるので理解しておこう!!
表面結露の防止策
表面結露の防止策として以下の3つが有効です。
1)壁体表面温度を上げる
壁体表面温度を上げるには、壁体表面温度が室内空気の露点温度以下にならないようにすることが重要です。そのためには、壁の断熱性を高めたり、ヒートブリッジ(熱橋)を避けたり、建物の外表面積をなるべく小さくすることが必要です。
これらは、結露だけでなく、省エネルギーにもつながってくるので、取り入れていきましょう。

ヒートブリッジとは...
外壁と内壁の間に、熱伝導率が高い鉄骨やボルトのような部材があった場合、局部的に熱を通しやすい部分となります。このような部分をヒートブリッジといいます。

2)湿気の抑制
室内の水蒸気発生を抑制し、絶対湿度を下げて表面結露を防止する。
例えば、浴室や厨房では、換気をすることにより湿気を抑制することができる。
3)壁体表面の空気流動
壁体表面の空気流動をよくして空気を滞留させないようにする。
例えば、押入れにスノコを入れたり、家具と壁を密着させないようにすることが一つの例です。
内部結露と防止策
内部結露の発生の有無は、室外から室内までの壁体内の材料の熱伝導率より温度勾配を求めて検討する必要がある。勾配が急ということは、熱伝導率が低い(断熱性能が高い)ことを示す。

右の図で確認していきましょう。冬の場合、外気温度は低く、室内は高温です。室内の温度を保とうとする断熱材の部分は、勾配が急になっています。ここで、壁体内部の温度が、露点温度を下回る場合に内部結露が発生します。
内部結露を防止する方法として以下の2つを紹介します。
1.断熱材の室内側に防湿層を設けること
2.外装材や屋根材と断熱材の間に通気層を設けること
外断熱についても話しておきましょう。
外断熱とは、室外側に断熱材を設けるもので、露点温度の勾配よりも高くすることで、内部結露を防止することができます。
また、冬の暖房時には、躯体が暖められるので暖房を停止しても室温が冷めにくく、省エネルギー効果があります。
まとめ(確認問題)
いかがだったでしょうか。熱の伝わり方、乾湿球温度、結露の順に話していきました。
それぞれ重要な分野になりますので、一つ一つしっかりと覚えていきましょう!!
特に、湿り空気線図に関しては、5つの言葉がグラフ上でどこを指しているのか、実際に書きながら覚えるのも良い方法だと思います。グラフが実際に書ければ、それぞれの関係はおのずとわかってきます。
では、今回はこの辺で失礼します_(._.)_
確認問題
1.伝熱現象には、伝導、対流及び放射の3つがある。
2.断熱材が結露などによって湿気を含むと、その熱伝導率は大きくなる。
3.建材の熱伝導率は、金属系<土石系<木材系<繊維材料系の順に大きくなる。
4.壁体内の空気層の断熱効果は、その厚さが2~4㎝程度までは増加し、それ以上になると少しずつ減少する。
5.乾湿球温度計の湿球温度は、乾球温度より低い値を示す。
6.乾球温度が一定の場合、相対湿度が低くなるほど露点温度は高くなる。
7.繊維系の断熱材を用いた外壁の壁体内の結露を防止するためには、断熱材の室内側に防湿層を設けるとよい。
8.建築材料の熱伝導率は、一般に、かさ比重が減少するほど小さくなる。
答え
1.〇 2.〇 3.× 金属系>土石系>木材系>繊維材料 4.〇 5.〇 6.× 露点温度は低くなる 7.〇 8.〇
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